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支部長あいさつ
日本病理学会東北支部長 東北大学大学院医学系研究科病態病理学分野 古川 徹 |
東北・新潟支部長を拝命いたしました東北大学病態病理学分野の古川徹です。何卒よろしくお願いいたします。東北支部は、東北6県と新潟県及びそのゆかりの病理学会員で構成されており、支部学術集会は1972年から始められた東北・新潟病理検討会より続く歴史ある会で、本年2022年で50周年となります。私自身は東北大学所属で東北支部の一員として病理学者・病理医のキャリアをスタートさせ、一時期東京におりましたが東北に戻ってきました。東北支部は地理的にはお互い距離がありますが互いに顔見知りであり、意思疎通が容易であることは大きな利点であると思います。
東北支部の課題は、これは全国共通とも言えますが、病理医を増やすことと研究アクティビティを上げることにあると考えています。病理医を増やすには病理学を魅力ある研究、診療分野として学生や研修医、臨床医により一層認識していただくことが必要となると思います。私たち病理医が臨床に大きく貢献していることは自明の理ですが、臨床での病理医のプレゼンスをより可視化するため臨床との積極的な関わりを増やすことが方策として考えられます。臨床とのCPCにおいて病理医が丁寧に説明することで研修医や初学者が病理に対する興味を増すことは会員諸氏経験されることと思います。支部会としても、例えば集会に発表演題と関連が深い、あるいはテーマごとに臨床医を入れ、さらに、そのような場に学部生、研修医、若手臨床医が気軽に参加できるようにすることで病理に興味をもつ方を増やし、また、臨床医から病理に求められる情報及び病理が示した情報の使われ方が病理医にもよくわかる様にもなり、病理医の質の向上も期待されます。研究アクティビティを上げる取り組みにおいては、何よりも研究の価値をわかりやすく提示することが重要と思います。研究の価値の根本は、研究成果がそれまで知られていなかった新たな予防診断治療の道を切り拓くことにあります。重要なのはそのような研究を日常の病理診断業務と切り離して考えるのではなく、日常での病理標本を観察する際の小さな気づきや病態の本質を考えながら標本観察することが研究に展開していくことです。日々標本を観察していて、この症例はあの診断になると思うけれど普通とはちょっと違うと思うことがあると思います。その様な気づきが新しい疾患概念の確立や分子異常の発見につながることは私自身が体験してきたことです。さらに、研究成果を発表することがエキスパートとして認知されることにつながり、世界に影響を与えることができます。支部会に留まるものではありませんが、その様なことを示すことで会員の研究欲を高められればと思います。支部活動においてもより身近で病理診断に根ざした研究成果が与えたインパクトがわかるようなセミナーなどを考えています。また、これも支部に留まりませんが、共同研究を展開することも研究力を上げることにつながります。会員個々が技術的に得意な領域があり、相互に連携することでより高度な研究を展開できる可能性があります。技術的な点に重点をおいた会員によるセミナーや会員同士の研究相談ができやすい環境を設定することができればとも思っています。以上、所感ではありますがアクティビティの高い東北支部を目指し努力していきたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。